2013年04月01日
アフガンの春
タガブ谷の東に前哨砦「COP46」の原型ができたのが2010年3月初めだった。それから一か月が経ち、COP46は拡張工事で広くなり、FOBトラから一部の部隊が派遣され、100人を超えるフランス兵が駐屯するようになった。
COP46に駐屯する部隊のメインは第1機甲パラシュート連隊の部隊で、AMX10RCという装輪戦車も配備された。他にも、第35砲兵パラシュート連隊の迫撃砲も配備され、我々第2外人パラシュート連隊からもいくつかの分隊が派遣された。
←COP46
私はFOBトラに駐屯したままだ。COPの食事は美味しくないので、それでよかった。それにFOBトラにいれば、米軍特殊部隊に会える。
私が非常に驚いたのは、COP46が建設されて1ヶ月しか経っていないのに、私の知らないうちに、COP46よりも何キロか北にCOP51が建設されていたことだ。ここはアフガン国軍の駐屯地だった。仏軍の部隊は常駐していないと思う。
この1ヶ月のあいだに、我々はいくつかの任務に出たが、あまり大きな出来事はなかった。あるとき、夜中に山を登り、朝、敵の訓練キャンプではないかという疑惑のある村を監視したが、怪しい動きはなかった。





車両でタガブ谷の村に再度近づいたりもした。敵の大きな抵抗はなく、中隊長の班と第3小隊が徒歩で村に入っていった。軍医プルキエ少佐と衛生兵ミッサニ伍長も同行したが、私と看護官オアロ上級軍曹は装甲車VABで留守番だった。

私も村のなかが見たかったが、VABの出動が必要になったとき、運転手がいなければ本末転倒なので、我慢するしかなかった。そもそも命令なのだから、どうしようもない。私がここにいる理由は観光ではなく仕事なのだ。
村のなかを徒歩で行けば、敵が攻撃してくる可能性は高いのではないかと思ったが、なんの動きもなく、全員無事にVABへ帰ってきた。1ヶ月前までは、侵入すると必ず銃撃を受ける地域だったが・・・。
ミッサニが言うには、「村のなかは緑が豊かで美しかった。住民もたくさんいて、我々を見てくるが、笑顔は見せなかった。我々はきっと敵視されている」という。
4月に入り、荒野のそこらじゅうで雑草が芽を出し、茶色と砂色に支配されていた荒野に緑色が加わった。全体として乾燥した大地には変わりなく、雑草が茂っているのは一部で、砂色や茶色の部分のほうが多い。

しかしタガブ谷の川沿い一帯は草木が生い茂り、畑一面が緑色になっている。アフガニスタンに派遣されている軍隊の多くが砂漠迷彩を着用しているが、ここでは森林迷彩のほうが効果的だ。フランス軍がアフガニスタンで森林迷彩を採用しているわけが理解できた。
フランス軍は迷彩パターンの更新を計画していたが、アフガニスタンで現用迷彩パターンが意外と効果的だったので、更新しないことにしたという噂を聞いたことがある。その噂に納得がいくくらい、現用迷彩はいい色合いだった。

春の到来は兵士の健康面にも変化をもたらした。暖かくなり、下痢の症状を訴える兵士が激増した。気温の上昇で細菌が活発になったのだろう。私は手洗いに注意していたおかげか、下痢にならなかった。
さらに暖かくなれば、マラリア対策の錠剤を毎日一回飲むことが義務付けられる。ほんとうに意外なのだが、暑い夏が来ればアフガニスタンにもマラリアが発生する。ただし、それは一部の地域であり、我々のいる地域もその可能性があるだけで、必ずしもマラリア原虫を運ぶ蚊が発生するとは限らない。ただ念のために錠剤を飲む。
つづく
COP46に駐屯する部隊のメインは第1機甲パラシュート連隊の部隊で、AMX10RCという装輪戦車も配備された。他にも、第35砲兵パラシュート連隊の迫撃砲も配備され、我々第2外人パラシュート連隊からもいくつかの分隊が派遣された。
私はFOBトラに駐屯したままだ。COPの食事は美味しくないので、それでよかった。それにFOBトラにいれば、米軍特殊部隊に会える。
私が非常に驚いたのは、COP46が建設されて1ヶ月しか経っていないのに、私の知らないうちに、COP46よりも何キロか北にCOP51が建設されていたことだ。ここはアフガン国軍の駐屯地だった。仏軍の部隊は常駐していないと思う。
この1ヶ月のあいだに、我々はいくつかの任務に出たが、あまり大きな出来事はなかった。あるとき、夜中に山を登り、朝、敵の訓練キャンプではないかという疑惑のある村を監視したが、怪しい動きはなかった。
車両でタガブ谷の村に再度近づいたりもした。敵の大きな抵抗はなく、中隊長の班と第3小隊が徒歩で村に入っていった。軍医プルキエ少佐と衛生兵ミッサニ伍長も同行したが、私と看護官オアロ上級軍曹は装甲車VABで留守番だった。
私も村のなかが見たかったが、VABの出動が必要になったとき、運転手がいなければ本末転倒なので、我慢するしかなかった。そもそも命令なのだから、どうしようもない。私がここにいる理由は観光ではなく仕事なのだ。
村のなかを徒歩で行けば、敵が攻撃してくる可能性は高いのではないかと思ったが、なんの動きもなく、全員無事にVABへ帰ってきた。1ヶ月前までは、侵入すると必ず銃撃を受ける地域だったが・・・。
ミッサニが言うには、「村のなかは緑が豊かで美しかった。住民もたくさんいて、我々を見てくるが、笑顔は見せなかった。我々はきっと敵視されている」という。
4月に入り、荒野のそこらじゅうで雑草が芽を出し、茶色と砂色に支配されていた荒野に緑色が加わった。全体として乾燥した大地には変わりなく、雑草が茂っているのは一部で、砂色や茶色の部分のほうが多い。
しかしタガブ谷の川沿い一帯は草木が生い茂り、畑一面が緑色になっている。アフガニスタンに派遣されている軍隊の多くが砂漠迷彩を着用しているが、ここでは森林迷彩のほうが効果的だ。フランス軍がアフガニスタンで森林迷彩を採用しているわけが理解できた。
フランス軍は迷彩パターンの更新を計画していたが、アフガニスタンで現用迷彩パターンが意外と効果的だったので、更新しないことにしたという噂を聞いたことがある。その噂に納得がいくくらい、現用迷彩はいい色合いだった。
春の到来は兵士の健康面にも変化をもたらした。暖かくなり、下痢の症状を訴える兵士が激増した。気温の上昇で細菌が活発になったのだろう。私は手洗いに注意していたおかげか、下痢にならなかった。
さらに暖かくなれば、マラリア対策の錠剤を毎日一回飲むことが義務付けられる。ほんとうに意外なのだが、暑い夏が来ればアフガニスタンにもマラリアが発生する。ただし、それは一部の地域であり、我々のいる地域もその可能性があるだけで、必ずしもマラリア原虫を運ぶ蚊が発生するとは限らない。ただ念のために錠剤を飲む。
つづく
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いつも楽しく見させて頂いてます。
お聞きしたいことがあるのですが外人部隊のなかで13准旅団の給与が異常に高いのはなぜですか?
また、13准旅団に配属される為に必要な事はなんでしょうか?
野田さんのことは本で知っていましたが、ご本人の書くこのブログを見つけとても驚きました。
自分は今大学三年で、今年から陸上自衛隊の採用試験を受けます。
もし在学中に合格することができなかったら外人部隊の方に志願を考えています。
二つほど野田さんに質問があります。
一つは新兵訓練時の語学についてです。
野田さんは英語がある程度話せるということですが、英語が話せたことでフランス語の習得の役に立ちましたか?
二つ目は日本での再就職についてなのですが、除隊するとき不安になりませんでしたか? あと可能であれば現在の職種を教えていただけないでしょうか?
毎回楽しく読ませてもらっています。
最近、youtubeで外人部隊の動画みたいなのを見たのですが、そこに日本人みたいな方が出てきてたので野田さんじゃないかと思いコメントしました。
ちなみに、その動画はhttp://www.youtube.com/watch?v=XblrjWtiH0Yです。
人違いでしたらすみません(汗)
これからも更新、無理のないように頑張ってください。
また気持ちが揺らいでいます。
米軍には入りたいとは思っているのですが、グリーンカードの抽選の確率を考えるともし米陸軍の入隊年齢制限までの歳まで当たらなかった時の後悔がものすごいような気がしてきました。
それだったらフランス外人部隊に
なるべく早く行き、そこからフランス陸軍に入り直した方がまだ自分の夢に近いんじゃないかと思っています。
もちろん外人部隊が簡単に入れるなんて甘い考えは持っていません。ですが米軍よりはまだ可能性があると思いますし....
こんな文章ですみません。
リキさんはどちらに進むべきだと思いますか? こんな事聞いても結局は自分の道って事は分かっています。ですが人の意見を聞いてみてから決めても遅くはないなと思い質問しました。よろしくお願いします。
13DBLEは現在アラブ首長国連邦のアブダビに駐屯していますが、アフリカに派遣されたら給料が約2倍になるうえに、聞くところによると現地政府からも金がもらえるそうです。
油で儲かってますからねぇ。
配属されるコツは明確には言えませんが、自身が希望することは当然ながら、13DBLEの欠員・求人のタイミングとか、人事を決める上官の気まぐれとかですかので、やはり運ですかね。
英語は仏語習得に役立ったと思います。同じ単語や似た単語も多いですから。
除隊後の仕事はとても悩みました。しかし、わがままを言わなければ必ず仕事はあると、自分に言い聞かせました。
現在の職は控えさせてください。
私です・・・。よく発見されましたね・・・。照れくさいです。「まんが日本昔話」の歌をみんなに披露したり、いろいろしてますから・・・。
米軍に入りたい理由は何ですか?
仏軍に入りたい理由は何ですか?
それによって外人部隊が良い選択かどうか、私の意見も変わります。
グリーンカードを当てにせずに、留学やワーキングホリデーなどでアメリカに住んで、募集担当の米軍人にいろいろ聞くのが良いと思います。
私なら、例えば1年間みっちりアルバイトしてお金を貯め、アメリカに行き、募集案内所でいろいろ聞きます。
いろいろ不安もあるでしょうが、一番の目的の米軍を目指したほうがいいんじゃないですかねえ。
Who Dares Winsですよ。