2012年08月15日

タスクフォース・アルトーPart 3

はじめに

本日は終戦記念日。日本に今ある平和は大変ありがたいものだと思います。

さて、前回に引き続き、部隊構成の説明です。正直、つまらないです。書いていて面白くありませんでした。しかし、今回で説明は終わりますので、もう少しおつき合いください。
なお、今回の本文中でいくつかの仏軍階級が出てきます。階級制度が日本とフランスは異なるので、翻訳に困りましたが、ウィキペディアで説明されていた日本語訳を使わせていただきました。
それでは、どうぞ。

――――――――――

タスクフォース・アルトーの約800人のうち、REPの第2中隊と小規模の支援隊(工兵・砲兵・糧食・医療・他)の約200名は、FOBトラから北東へ数十キロの山岳地帯にある「COPロコ」というキャンプに駐屯している。COPとは、「Combat Outpost」のことで、正確な和訳が難しいのだが、いわば、「前哨砦」である。

COPロコは、バスチョン・ウォールに囲まれ、中に頑強な建造物はなく、天幕ぐらしだ。トイレやシャワーも簡易的なものしかなく、FOBトラのような美味しい食事も出ないワイルドな場所だ。

←COPロコ

REP(外人パラシュート連隊)では、各中隊が異なる専門特技を有しており、第2中隊は山岳戦が専門だ。ヒンドゥークッシュ山脈が近いこの地域に、この中隊が派遣されるのは当然だ。このような戦場のために、彼らは山岳技術を練習してきたのだから。今回、アフガニスタンに派遣されず、くやしい思いをした他の戦闘中隊の者たちも、第2中隊が選ばれたことに異論はないだろう。

一方、幸い派遣に選ばれた我々第3中隊は、実はなんと、水路潜入を特技としている。パラシュートで海に降下したり、ヘリコプターから海に飛び込んだあと、泳いで上陸し、歩兵活動に移るという技術だ。ゾディアック・ボートの操縦技術や、それを使っての上陸技術も保持している。10名ほどだが、カヌーイストや潜水士もいる。

そんな「水路潜入中隊」の我々が、山岳国家に派遣されている。他の中隊の者たちは、「非論理的だ !」と妬んだに違いない。しかし、実は論理的な裏付けがあった。

連隊長であるベロ・デ・ミニエ大佐はかつて、第3中隊の中隊長を務めていた。そのため、水路潜入中隊にもかかわらず、我々を起用してくれた。自分がかつて所属していた中隊に活躍の機会を与えたいと思うのは、当然の論理だ。ありがたい。

実際のところ、我々は水路潜入を得意としているが、当然、陸上での歩兵活動もできるし、装甲車も駆使できる。つまり、通常の歩兵部隊としての機能も持っているので、問題はない。山岳演習もしっかりこなした。

ちなみに、他の戦闘中隊の特技は、第1中隊が市街地戦闘、第4中隊が狙撃と爆破である。

そうしてアフガニスタンに赴いてきた第3中隊には、4つの小隊がある。指揮小隊1つと、戦闘小隊である第1小隊・第3小隊・第4小隊だ。本来は、第2小隊を加えた4個小隊があるが、アフガニスタンでは3つの戦闘小隊で中隊が運用されるシステムになっていたため、第2小隊の人員は、他の小隊に分配されたり、1つの分隊は1RHP(第1機甲パラシュート連隊)に組み込まれた。

1つの戦闘小隊には、指揮分隊1つと戦闘分隊4つがある。指揮分隊の構成は、小隊長1名(中尉もしくは曹長)、副小隊長1名(上級軍曹)、通信兵1名(伍長か一等兵)、衛生兵1名(伍長か一等兵)、そして、狙撃兵2名(伍長か一等兵、7.62mm口径の「FRF2」狙撃銃を使用)の6名だ。

1つの戦闘分隊には、分隊長1名(主に軍曹)、伍長2名、一等兵および二等兵が4名の7名がいる。伍長1名の下に一等兵/二等兵2名がつき、3名の班を成し、それら2つの班を分隊長が率いるシステムだ。

また、各戦闘小隊には4台の装甲車があり、各戦闘分隊が専用の装甲車1台を持つので、各戦闘分隊メンバーには、運転手1名と助手席の車長1名の計2名がプラスされる。原則として、運転手と車長は、常に装甲車に留まり、徒歩の任務に出ることはない。そして、指揮分隊の人員は、専用の装甲車がないので、車両移動の際は、戦闘分隊の車両4台に分乗する。

最後に、指揮小隊の構成だが、中隊長班、副中隊長班、そして、ADU分隊から成る。ADU(Adjudant d’Unite)とは、いわば中隊の最先任下士官である。

中隊長班には、中隊長1名(大尉)、通信兵2名(上級伍長と伍長)、衛生兵1名(伍長)がいる。通信兵の1人は私のルームメイトであるナチェフ上級伍長で、衛生兵は、私が一緒にアーマーを組み立てたぺリシエ伍長だ。

副中隊長班には、副中隊長1名(大尉)、通信兵2名(軍曹と伍長)、中隊需品担当下士官1名(曹長)がいる。

ADU分隊には、ADUが1名(上級曹長)、3名から成る車両整備班(上級軍曹1名と上級伍長2名)、そして、4名から成る医療班(軍医1名、看護官1名、衛生兵2名)、そして車両整備班の援護として、一等兵が1名がいる。

車両移動の際は、中隊長班と副中隊長班にそれぞれに、専用の装甲車1台と運転手・車長の2名がつく。

ADU分隊には3台の装甲車があるのだが、1台目は、ADUが車長を、車両整備の上級伍長1名が運転手を務める。装甲車後部には乗員はいない。

2台目は、車両整備の上級軍曹が車長を務め、同じく車両整備の上級伍長が運転手を務める。装甲車後部には援護の一等兵が乗る。

3台目は、医療班の装甲車で、軍医が車長を務め、衛生兵の1人が運転手を務める。看護官ともう1人の衛生兵は装甲車後部に乗る。

実は、車両整備班と医療班は、もともとは中隊には存在しなかったが、アフガニスタン用の特別な中隊構成のために結成された。しかも、いくつかの職種の連隊で混成された、REP単独でない部隊構成もアフガニスタン独特のシステムだった。派遣される10ヶ月前から、このシステムで演習をたくさん積んできているので、運用はうまくいくだろう。

私は、本来は第3小隊所属だったが、アフガニスタンの任務中は、指揮小隊に一時的に配属され、医療班の装甲車運転手と衛生兵を務めることとなった。

正直言うと、とても気の知れた第3小隊のやつらと一緒に任務につきたかった。しかし、私には決定する権限がないので、「仕事だ」と自分に言い聞かせ、あきらめた。

タスクフォース・アルトー、第3中隊、医療班などの構成は、多少の人員の変動はあれど、おおよそ、以上の通りだ。全員で力を合わせ、いずれ、敵と戦うことになる。

←第3中隊兵士の海上降下

←ゾディアックボートと著者

←山岳行軍中の著者(アゴが黒いのはヒゲではなく、カモクリーム)

つづく

アフガン体験記、次回は8月20日に更新します。ご意見・ご感想など、お待ちしています。






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Posted by 野田力  at 07:00 │Comments(0)アフガニスタン

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