2012年06月20日

弾薬の支給

はじめに

先日、私が以前所属していた第2外人パラシュート連隊の現役日本人2名に会いました。狙撃課程やアフリカなどの土産話を聞き、まだまだ軍隊を経験したいと思いました。2人のことが羨ましかったです。

今週金曜日、22日から公開の映画「ネイビーシールズ」、楽しみですね。必ず劇場で観たいです。


それでは本文にうつりましょう。
どうぞ。

――――――――――

昼食時の興奮が冷めやらないまま、我々は弾薬・弾倉を受け取りに行った。銃があっても、弾薬がなければ仕方がない。私はこの時を待っていた。

FAMASを持つ戦闘員は1人につき、300発の5.56mm弾薬と12個の弾倉を受け取った。1つの弾倉に25発入るので、12個の弾倉に弾薬300発がすべてピッタリ収まる。(バネのことを考え、装弾数を22~23発にとどめる者もいた)

彼らには、さらに手榴弾、発煙弾、FAMASの銃口に取り付けて発射する擲弾が支給された。中には、LGI(個人用擲弾発射器)や使い捨てのAT4ロケットを携行する者もいた。

ちなみに、「AT4」という名称の由来だが、私の後輩がフランス陸軍の武器庫管理の課程で教わったことによると、「AT4=エイティフォー」は「84」という意味で、84mm口径を表しているという。

私は基本訓練でAT4を習ってから、長いこと「Anti-Tank(対戦車)4」だと思い込んでいた。お恥ずかしい・・・。しかし、フランス語では「アー・テー・カトル」と読むので、「84(カトルヴァン・カトル)」という意味ではなくなる。

MINIMI(ミニミ)軽機関銃射手や、AANF1(アーエネフ・アン)汎用機関銃射手も多くの弾薬を受け取った。MINIMIに関しては、30発弾倉や100発ベルト式弾薬用の箱型弾倉の他、200発ベルト式弾薬用の箱型弾倉まで支給された。

MINIMIは5.56mmのベルギー製軽機関銃で、私自身、新兵の頃、小隊に配属されると、まずMINIMI射手を担当した。扱いやすく、頼もしい武器だ。固定式銃床・長い銃身の歩兵仕様と、伸縮式銃床・短い銃身の空挺仕様があるが、フランス軍では空挺仕様のみを採用している。

中隊はアフガンでの任務に合わせ、その空挺バージョン数丁をチューンナップした。M4小銃のような伸縮式銃床やピカティニーレイルが設置され、エイムポイントと望遠器、そしてフォアグリップが取り付けられた。しかも、フォアグリップには小型の二脚が内蔵され、必要に応じて二脚を引き出すことができる。もともとMINIMIに付いていた長い金属製の二脚は外された。そのうち何丁かに黄土色の塗装も施され、まるで米軍特殊部隊が使う武器みたいで、カッコいいと思った。

中には、チューンナップされていないMINIMIを担当した射手も2人ほどいたが、見た目では劣っていても、「J4」というフランス製の4倍率スコープが付いているので、性能にはそんなに差は無いだろう。しかも、実はこのオリジナルの方が重量は軽い。

一方、AANF1は、7.62mm口径のフランス製機関銃だ。1950年代から使われている古いモデルで、グリップの持ち心地などが悪く、扱いにくいので、人気がなかった。しかも、何度か故障するのを見たことがある。

しかし、あくまで7.62mm口径の機関銃だ。火力があり、作動さえしてくれれば、大いに頼りになる。新しい部品を使うなり、こまめに手入れをするなりして、しっかり作動させるよう、努力するしかない。アフガニスタンで使用するAANF1 には、古い部品は使われていないだろうから、故障せずに、心強い支援火器になるだろう。

弾薬の支給弾薬の支給弾薬の支給FAMAS原型

弾薬の支給AT4

弾薬の支給弾薬の支給弾薬の支給MINIMI
一番右のMINIMIには個人購入の二脚が付けられている。


弾薬の支給弾薬の支給弾薬の支給AANF1

弾薬の支給弾薬・手榴弾

つづく

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Posted by 野田力  at 07:00 │Comments(14)アフガニスタン

この記事へのコメント
初めまして
MINIMI 良いですね
先日、射撃検定で撃たせてもらいました。思ったのは、反動もそれほど無かったことです。
Posted by ジョン at 2012年06月20日 08:24
UPお疲れ様です。毎回楽しみにしてます(メールが届くので^^)

ファマスのマガジンは12本支給とあるのですがアフガンの仏軍画像見てると大量にマガジンポーチを前面に配置してる人の画像ってのは見たことありません(パラクレイトのマグポーチ3つで6本程度)
携行する本数は各個人の裁量に任されているのでしょうか?

あと前から知りたかったのですが今回のミニミの画像でミニミにサイドマウントしてあるレーザーイルミネーター(ファマスにもよく付けてますよね)はなんという名称ですか?

質問ばっかりで申し訳ないですm(_ _)m
Posted by TETSUTETSU at 2012年06月20日 08:29
はじめまして。
アフガニスタンでの生活の話、とても興味深いです。

エアガンだと軽い弾倉も25発の実弾、しかもそれを何個も携行するとなるとそうとう重そうですね。
他にもアーマー、背嚢、銃本体にAT4、改めて兵士の凄さが分かります。

今までの記事を見て気になったのですが、野田さんは仏語と英語ができるんでしょうか?
問題なければ答えてもらえるとありがたいです。
Posted by noire at 2012年06月20日 08:32
ジョンさん
はじめまして。MINIMIは私も大好きです。基本訓練・パラシュート訓練を終えて、小隊に配属されて最初の役職がMINIMI射手でした。
Posted by 野田力野田力 at 2012年06月20日 20:24
TETSUさん
みんなが全部を携行しているかどうか確認していませんが、マグポーチに入らない弾倉はバックパック等の中に携行しています。
個人の裁量で携行数が決まることはありません。任務によっては、最低携行数が指定されたりということはありました。
レーザー装置は「ピラート」といいます。
Posted by 野田力野田力 at 2012年06月20日 20:43
Noireさん
はじめまして。
確かに、重い体験、たくさんしました・・・。
英語と仏語でしたら、そこそこ話せます。「ペラペラ」からは程遠いですが、イギリスやフランスで単身、住むことくらいはできます。
アフガニスタンには米軍や英軍などがいるので、英語が話せると本当に楽しめます。

他の外国語はできません・・・。漢字も駄目です。勉強が大嫌いなんです。
Posted by 野田力野田力 at 2012年06月20日 20:53
野田さん初めまして!

アフガニスタンで体験したこと等詳しく知ることができ、よく拝見しています。

フランス軍は独自の考えがあるんだなと感じますね。

特にAANFなんかはG3に似ている面も有りますが、そこにもフランスらしさが有りますね(笑)

そういえば野田さんはドイツ軍とは一緒に訓練したり、アフガンでは会いませんでしたか?もし会っていたら彼らの銃や装備品はどう感じましたか?

変な文章で申し訳ありませんでした。
Posted by HiroSauer at 2012年06月21日 14:25
HiroSauerさん
はじめまして。
ドイツ軍との交流、ありましたよ。
独仏ベルギーの合同演習のとき、ご一緒しました。海岸と沖の艦船のあいだで、ドイツ部隊を運ぶボートのクルーとして演習に参加していたのですが、初めに海岸でドイツ兵を乗せる直前、敵役と勘違いされて捕虜にされました。
英語で「敵じゃない。あんたらを船まで運ぶ役だ」と伝えても信じてもらえませんでした。ドイツ部隊の中尉がフランス部隊本部に連絡をとり、解放され、その後、彼らを艦船まで運送しました。
彼らの装備を見て思ったことは、
・戦闘服のデザインが仏軍同様、古臭い・・・。
・官給ブーツが上質。登山靴っぽい。
・ヘルメットが上質。
・G36は長すぎる。
・迷彩のゴアテックスジャケットがカッコいい。
・MP7は扱い易い。たくさんイジっただけで、撃ってはいません。
・ポーランドやウクライナなどからの移民の兵士が結構いる。

だいたいこのような感じです。
さすがにドイツ軍、武器が充実してました。パンツァーファウストやG3、MG3、MG4、USPなど。

演習後、いろいろと仏軍装備と独軍装備を交換し、楽しみました。
ベレーや迷彩服の他、ゴアテックスジャケット、アフガン用の独軍Tシャツ、ブーニーハット、パラバッジ、防寒帽、防寒ジャケットライナー、ジャージなど、いろいろ交換し、楽しみました。
交換物品数では、連隊トップの自信があります。
Posted by 野田力野田力 at 2012年06月21日 18:36
お疲れ様です!
勉強、頑張られてますか?

本文も楽しく拝見させて頂きましたが、
ドイツ軍との交流もおもしろいですね。
Posted by LOCK ON at 2012年06月23日 23:45
Lock Onさん
いろいろ勉強させて頂いております・・・。
ドイツ軍にしろ、ベルギー軍にしろ、外国軍との交流は本当に楽しいです。イギリス軍との交流がなかったのが無念です・・・。
一応、休暇で行ったオックスフォードで、アフガン帰りのイギリス兵達と会話はしました。
Posted by 野田力野田力 at 2012年06月25日 01:04
そういえば少し気になりましたが、オックスフォードで英軍兵士と話した際にそれぞれの制式銃(主にライフルなど)について話したりはしませんでしたか?
Posted by HiroSauer at 2013年03月12日 20:28
HiroSauerさん
火器の話はしませんでした。
彼らが派遣されていた地域の危険度などについて聞きました。
話をしたのが駅のプラットフォームで、彼らの電車がすぐに来たのであまり話す時間がありませんでした。

英軍採用小銃SA80については、イギリス出身の後輩からひとつ話を聞きました。
以前は駄目な銃だったそうですが、ドイツのHKに造り直してもらったところ、信頼のおける銃となり、今ではSASにも愛用者がいるくらいになっているそうです。
Posted by 野田力野田力 at 2013年03月13日 00:45
初めまして!
アフガニスタン戦における体験記のようなものを探してて行き着きました。
読ませていただいてふと思ったのがminimi射手についてです。
こちらの記事には30連弾倉のほか、100連や200連の箱形も支給されたとありますが、実際200連と100連を使い分けてる方はいたのでしょうか?
また、minimi射手も30連の弾倉なんかも結構持っていっていたのでしょうか?
Posted by Soleil at 2018年02月23日 23:51
Soleilさん、
アフガニスタンでは、初めに100連箱を付けるか200連箱を付けるかは射手それぞれが決めていました。
初めから30発弾倉を付ける人はいませんでした。
30発弾倉の数や、トータルの弾薬数までは私にはわかりません。
ただミニミ射手はリュックの中にもベルト弾薬を入れていましたので、結構な数を携行していたと思います。
Posted by 野田力野田力 at 2018年02月24日 00:14
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