2012年08月10日

タスクフォース・アルトーPart 2

はじめに

このあいだの8月7日、アフガニスタン・カピサ州でフランス兵1名が戦死しました。アフガニスタン戦争における88人目の仏軍戦死者です。
仏軍戦闘部隊が撤収をすでに開始し、FOBトラからは完全撤収した矢先の出来事で、遺族は余計に無念だと思います。
撤収は始まっていても、戦いが終わったわけではなく、まだまだ危険に挑んでいるフランス兵がいます。

さて、前回から部隊構成の説明に入ったわけですが、体験記というよりデータの羅列で、“現場”の雰囲気はありませんが、部隊構成を知るのは今後の体験記をより深く理解して頂くのに有効だと思いますので、説明させてください。

それではどうぞ。

――――――――――

第11パラシュート旅団の部隊を中心に構成されるタスクフォース・アルトーの骨幹を担うのは、我々、第2外人パラシュート連隊(2e Regiment Etranger de Parachutistes)だ。通称、REP(レップ)とか、「2REP(ドゥズィエム・レップ)」と呼ばれる。REPからアルトーには約500名が派遣されている。
アルトーの指揮本部や、兵站・通信・医療・車両整備などの後方支援要員の多くがREPの人員だ。
また、タスクフォースが戦闘部隊として機能するためには、歩兵職種をはじめ、いくつかの職種の部隊が必要だ。
まず、歩兵職種はREPの戦闘中隊である第2中隊と第3中隊が担っている。また、両中隊への増援として、CEA(偵察および支援中隊)の人員が、それぞれの中隊のメンバーとして組み込まれ、任務につく。
さらに、CEA所属の空挺コマンド部隊「GCP(ジェーセーペー=Groupement des Commandos Parachutistes)」は、両中隊からは独立して、戦闘任務や偵察任務につく。なお、GCPはREPだけではなく、他のパラシュート連隊にも独自のGCPが存在する。米軍や英軍で言う「パスファインダー」のような部隊だ。
アフガニスタン戦争において敵は、IED(Improvised Explosive Device=即製爆発性装置)という自家製の爆発物を頻繁に使用する。それらに対処するのは工兵職種で、第17工兵パラシュート連隊(17RGP=17e Regiment du Genie Parachutiste)が担当する。17RGPは約80名を派遣している。
REPの歩兵とRGPの工兵が戦闘中隊となり、前線へ行くのだが、そのとき、火力支援の砲兵や機甲兵が必要となる。
砲兵職種は、第35砲兵パラシュート連隊(35RAP=35e Regiment d’Artillerie Parachutiste)が務める。主力武器は120mm迫撃砲で、装甲車でけん引することができるので、あらゆる場所で火力支援を施してくれる。
また、RAPのGCPは、監視・観測のスペシャリストで、我々が戦闘地域に入っていくとき、離れた場所からハイテク機器を使用し、敵の動きを察知し、我々に知らせてくれる。さらに、航空機に地上標的の攻撃誘導を行なう「JTAC=Joint Terminal Attack Controller」の役割も担う。
RAPは約70名を派遣している。
機甲職種は第1機甲パラシュート連隊( 1RHP=1er Regiment de Hussards Parachutistes)が務める。AMX10RCという105mm砲を装備した装輪戦車や、20mm機関砲を搭載したVAB装甲車で火力支援をやってくれる。RHPは約130名を派遣している。
その他にも、小規模ながら、いろいろと重要な部隊がアルトーに所属していた。
EOD(爆発物処理)班は、17RGPでも対処できない複雑な爆発物を処理する。
軍用犬の小隊もある。犬1匹につき、1人のハンドラーが付き、隠されている武器や麻薬を見つけ出す。犬種はほとんどがシェパードだった。
情報部隊も存在する。陸軍だけでなく、空軍や海軍からも人員が派遣されている3軍合同の部隊だ。現地民に紛れた敵や、その隠れ家をつきとめるのが1つの役割なのだろう。
SDTIというドローン(無人偵察機)も使用されていて、FOBトラから毎日のように飛んでいた。
他にも、アフガン国家警察を訓練指導するフランスの国家憲兵隊(Gendarmerie Nationale)などもいた。
正確な人数はわからないが、アルトーに所属している人員はおそらく800人ほどだ。

タスクフォース・アルトーPart 2←REPの部隊章
タスクフォース・アルトーPart 2←アルトーの部隊章
タスクフォース・アルトーPart 2←爆発物について説明するEOD隊員


つづく







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Posted by 野田力  at 07:00 │Comments(0)アフガニスタン

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