2012年04月10日

バグラム航空基地 Part2

皆さま、お待たせしました。前号「バグラム航空基地」の続きです。前号で、我々はバグラムに到着し、銃や個人用医療ポーチの支給を受けました。これから航空基地内の施設をいくつか回るのですが、ちょっとした驚きや発見が待っています。
それでは、どうぞ。

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食事の時間になった。食堂は、いくつもの天幕をつなげた造りだったが、内部は立派なレストランみたいで、美味そうな料理がふんだんに用意されていた。フライドポテト、ライス、パスタ、ハンバーグ、フライドチキンなどなど……。しかもサラダ、フルーツ、デザートは取り放題。飲み物も好きなだけ取れた。
食堂から食べ物を持ち出すのは禁止だと注意書きがあったが、パックのジュースやチョコバーをいくつか隠して持ち帰った。この程度の悪さは、軍隊では当たり前のことだ。

アメリカの民間企業が運営しているこの食堂の料理は、コルシカ島の駐屯地の食堂が出す料理よりも100倍豪華だった。戦場でこんなにいい物を食べられるなんて、正直、米軍が羨ましいと思った。しかし、毎日こんな料理ばかりでは食べ過ぎてしまい、体重管理に苦労しそうだ。

しかも、こんな素晴らしい食堂があるのに、「バーガーキング」、「ポパイチキン」、「サブウェー」などのファストフードの店も営業していた。食堂で無料で食べられるのに、なぜファストフード店があるのか不思議に思い、1人の米兵に聞くと、それらの店は24時間営業で、食堂が閉まっている時間帯でも食べられるから、との返事だった。
 
「AAFES(エイフェス)」という米軍PXストアもあった。まるでスーパーマーケットそのままの大きな店舗で、家電・食品・衣類・書籍の他、ブーツやポーチなどの米軍個人装備も販売していた。米軍の部隊章パッチや階級章などは、米軍所属でない者には販売できないと注意書きがあったが、ランニングショーツ2枚と一緒に、米第82空挺師団の部隊章パッチなどを、レジに持って行ったら、何も言われずに購入できた。

〈食堂〉バグラム航空基地 Part2バグラム航空基地 Part2

〈食事〉バグラム航空基地 Part2バグラム航空基地 Part2

〈朝食〉バグラム航空基地 Part2バグラム航空基地 Part2

〈デザート〉バグラム航空基地 Part2

バグラム基地には、アメリカ以外の国からも多くの兵士が派遣されていた。イギリス、チェコ、ヨルダン、ポーランド、エジプト、ルーマニア、ラトヴィア、韓国……。韓国兵とフランス兵だけが森林用迷彩服で、他は砂漠用迷彩服だった。
(フランス軍は貧乏で砂漠迷彩服を支給できないのか? あるいはこの迷彩柄がアフガンで効果があるのか?)

バグラム航空基地 Part2〈韓国兵と銃を交換しての記念撮影。私が持っているのは韓国製K2小銃〉
バグラム航空基地 Part2〈ヨルダン軍兵士〉
 
兵士のほかにも多くの民間人がいた。彼らは料理、運送、清掃、販売などのロジスティック(兵站業務)のために来ている。アメリカ人も多かったが、ネパール人やインド人は更に多くいた。タイ人やアルメニア人も少数ながらいた。欧米の民間会社にしてみれば、安い賃金で彼らを雇うことができる一方、彼らにとっては高い給料なのだ。まさにアフガニスタン戦争は出稼ぎのチャンスでもある。

バグラム基地では、軍人、民間人を問わず、女性の姿も多く見かけた。とくに韓国の女性兵士が目についた。おそらく韓国軍医療部隊の看護婦なのだろう。
 
また、基地内には大きなトレーニング施設もあり、我々駐屯地の筋トレ施設よりはるかに大きく、設備も充実していた。フランス兵にも無料で利用させてくれ、タオルの貸し出しやジュースも無料だった。米軍は圧倒的に太っ腹である。


つづく







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Posted by 野田力  at 07:00 │Comments(10)アフガニスタン

この記事へのコメント
毎回楽しく見させてもらってます

これからも楽しみです!

本当にありがとうございます!
Posted by 通りすがりす at 2012年04月10日 09:29
通りすがりすさん
コメント、ありがとうございます。アップ頻度が低いですが、今後もよろしくお願いします。
Posted by 野田力野田力 at 2012年04月10日 20:25
初回より読ませて頂いてます。貴重な体験談と思います。次が待ち遠しいです
Posted by 歌月 at 2012年04月11日 13:58
歌月さん
初回より、ありがとうございます。実任務とは直接関係のない内容が続いていますが、そのような部分を知りたい方々もいると思いますので、これからもよろしくお願いします。
Posted by 野田力野田力 at 2012年04月11日 19:44
CE迷彩装備をメインで使用してるTETSUと申します。
コアな外人部隊装備ネタなども期待してますので更新楽しみにしてます。

実は先月特区さんで野田さんがタクトレしてる横で民生品CE着てゲームしてましたが(^^; Vショーのフランス軍扱う某ブースにも頻繁に顔出します。

アフガンでのCE迷彩の話ですがCEってウッドランド等の森林迷彩よりタンカラーやブラウンの配色比率が高いからアフガンでも効果があるのではないでしょうか?(行ったこと無いので言い切れませんが)
画像資料見る限り迷彩効果は高い気がします(場所によるとは思いますが・・・)
Posted by TETSUTETSU at 2012年04月11日 19:45
TETSUさん
特区さんで外人部隊装備を着ておられたのはTETSUさんでしたか。

アフガンにおける仏軍迷彩の効果については、いずれアフガン体験記の中で説明する予定ですので、お楽しみに!

また、外人部隊装備や仏軍装備なども、これからアップしていく予定です。外人部隊ジャージとか、制服とか。
少々お待ちください。
Posted by 野田力野田力 at 2012年04月11日 23:28
毎回とても楽しく見させてもらっています^^

波乱万丈な人生を送られているようで凄いです!!!

外人部隊の書籍(外人部隊の日本兵 著 宮下洋一)にてインタビューされているのは、もしかして管理人さんではないでしょうか??

応援していますので頑張ってください。
Posted by 正義の使者 at 2012年04月12日 23:21
正義の使者さん
ありがとうございます。
おっしゃるとおり、宮下氏の書籍に少し出ています。入隊して1年2ヶ月の頃に取材を受けました。あれから多くの時が過ぎ、現在では、除隊して1年が経ちました。
Posted by 野田力野田力 at 2012年04月13日 00:58
一番下の写真に写っているパンツ一丁の方は何者ですか?
Posted by 馬嶋慶 at 2012年04月26日 15:23
馬嶋さん
よく気づきましたね! 実は、あれ、パンツではなく、外人部隊のランニング・ショーツなんです。
写真で着用している人物は、同じ連隊の古参兵です。
アフガンの文化では、下半身は言うまでもなく、上半身裸で屋外に出ることは、あるまじき行為です。
たとえ基地内でも、ほんとは禁止するべきだと思います。きっとヨルダン兵たちも不快だったと思います。
現地文化を尊重することも、任務の一部だと思います。
Posted by 野田力野田力 at 2012年04月26日 22:12
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