2012年05月30日
FOBトラ
はじめに
現在公開中の映画「キラーエリート」を見ました。アクションもさることながら、フェザーメンの暗躍にドキドキしました。私も、このブログで下手なことを書いて、フランスのフェザーメンに狙われないよう、気をつけます。
なお、主人公の殺し屋たちが、もともとどこで技術を習ったのか気になったんですが、私は勝手に解釈して、元外人部隊と見なしました。パリに集合してましたし。
まあ、そんな設定ではないと思いますが、そんな見方をしたら、とても楽しめました。勝手に妄想してすみません。
さて、前回の記事では、FOBの宿舎やシャワー・洗面所を描写しました。引き続き、FOBがどんなところか、紹介していきたいと思います。FOBの生活を感じて頂ければ幸いです。
それではどうぞ。
――――――――――
兵舎に荷物を置いた後、我々は集合し、FOBの中を手早く案内された。どんな施設があるのかや、それらの位置、そして、FOBの簡単な歴史がわかった。
我々の駐屯するFOBは「FOBトラ」という名称で、荒野に隆起した標高約1400mの高台に建っている。人里から少し離れており、FOB関係者以外では、ヤギを遊牧するヤギ飼いくらいしか、現地民を周辺で見かけることはない。
もともとイタリア軍部隊の小さな基地だったが、2008年からフランス軍部隊に引き継がれ、早急な増築の後、大きな基地となった。今や600人以上の収容が可能だ。
FOBの内側には多くの施設があり、居住区の他には、指揮所、作戦会議室、通信室、診療所、車両整備区域、無人偵察機区域、軍用犬宿舎、集合広場、食堂、筋トレ小屋、売店、そしてバー(パブのようなもの)などがあった。
さらに、我々フランス兵は自由に出入りができないが、アメリカ軍の小さな区域もある。
FOBの外側には、野球グラウンドのように広いヘリポートがあり、その先には100mくらいの岩山があった。その山は「モン・サンミッシェル」と呼ばれ、頂上には監視所があり、常時、15名ほどが警備や通信の任務に就いている。
FOBもヘリポートもモンサンミッシェルも、長い有刺鉄線に囲まれていたが、射撃場だけはその枠の外にあった。FOBの高台から下った平地が射撃場だった。ここで皆、到着してすぐ射撃をし、銃の照準を調節する。
特筆すべきは、FOBの周りを固めている防壁で、「バスチョン・ウォール」と呼ばれる。「ヘスコ」というイギリスの会社の製品で、構造はとてもシンプル。
まず、フェンスのような金網で、四角柱型のカゴを組み立てる。断面は1辺が約1.5mの正方形で、高さは約2m。他にも、1辺が1mで、高さ1.5mのタイプもある。上面と下面には金網を張らず、開けたままだ。まるで檻のようである。
そして、組み立てた金網の内面に、頑丈な薄茶色の生地を張り付る。すると、大きな箱のようになり、その中に、上から土や石をぎっしりと詰め、押し固めれば完成だ。
原理は単純で、巨大な土嚢みたいなものである。これらを隙間なく並べ、FOBの防壁が形成される。2重にもできるし、積み重ねることもできる。
シンプルな構造ながら、防御性能は高い。弾丸は当然のこと、RPGの攻撃や突っ込んでくる車にも耐える。現在、アフガニスタンやイラクのあらゆる基地で、この「バスチョン・ウォール」が採用されている。
そんな防壁のところどころに見張り台があり、機関銃やロケットで武装した兵士が交替で24時間、警戒している。しかも、FOBのメインゲイトから幹線道路まで伸びる道は、起伏が激しいうえ、舗装されていない。そのため、車が高速で走ることができず、たとえ自爆テロの車が来ても、道の途中で対処できる。
このように、FOBトラは防御が固い。それでも稀に、遠くからロケットが飛んでくる。幸い基地内に落ちたことはないが・・・。
FOBから眺める日の出
FOB入口。フランス国旗とアフガン国旗がたなびく。
FOBトラ
FOBトラの周辺環境
背後の小山がモン・サンミッシェル
モン・サンミッシェルの見張所
山頂
山頂からの眺め
バスチョン・ウォールを作る現地雇用職人
バスチョン・ウォール
つづく
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現在公開中の映画「キラーエリート」を見ました。アクションもさることながら、フェザーメンの暗躍にドキドキしました。私も、このブログで下手なことを書いて、フランスのフェザーメンに狙われないよう、気をつけます。
なお、主人公の殺し屋たちが、もともとどこで技術を習ったのか気になったんですが、私は勝手に解釈して、元外人部隊と見なしました。パリに集合してましたし。
まあ、そんな設定ではないと思いますが、そんな見方をしたら、とても楽しめました。勝手に妄想してすみません。
さて、前回の記事では、FOBの宿舎やシャワー・洗面所を描写しました。引き続き、FOBがどんなところか、紹介していきたいと思います。FOBの生活を感じて頂ければ幸いです。
それではどうぞ。
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兵舎に荷物を置いた後、我々は集合し、FOBの中を手早く案内された。どんな施設があるのかや、それらの位置、そして、FOBの簡単な歴史がわかった。
我々の駐屯するFOBは「FOBトラ」という名称で、荒野に隆起した標高約1400mの高台に建っている。人里から少し離れており、FOB関係者以外では、ヤギを遊牧するヤギ飼いくらいしか、現地民を周辺で見かけることはない。
もともとイタリア軍部隊の小さな基地だったが、2008年からフランス軍部隊に引き継がれ、早急な増築の後、大きな基地となった。今や600人以上の収容が可能だ。
FOBの内側には多くの施設があり、居住区の他には、指揮所、作戦会議室、通信室、診療所、車両整備区域、無人偵察機区域、軍用犬宿舎、集合広場、食堂、筋トレ小屋、売店、そしてバー(パブのようなもの)などがあった。
さらに、我々フランス兵は自由に出入りができないが、アメリカ軍の小さな区域もある。
FOBの外側には、野球グラウンドのように広いヘリポートがあり、その先には100mくらいの岩山があった。その山は「モン・サンミッシェル」と呼ばれ、頂上には監視所があり、常時、15名ほどが警備や通信の任務に就いている。
FOBもヘリポートもモンサンミッシェルも、長い有刺鉄線に囲まれていたが、射撃場だけはその枠の外にあった。FOBの高台から下った平地が射撃場だった。ここで皆、到着してすぐ射撃をし、銃の照準を調節する。
特筆すべきは、FOBの周りを固めている防壁で、「バスチョン・ウォール」と呼ばれる。「ヘスコ」というイギリスの会社の製品で、構造はとてもシンプル。
まず、フェンスのような金網で、四角柱型のカゴを組み立てる。断面は1辺が約1.5mの正方形で、高さは約2m。他にも、1辺が1mで、高さ1.5mのタイプもある。上面と下面には金網を張らず、開けたままだ。まるで檻のようである。
そして、組み立てた金網の内面に、頑丈な薄茶色の生地を張り付る。すると、大きな箱のようになり、その中に、上から土や石をぎっしりと詰め、押し固めれば完成だ。
原理は単純で、巨大な土嚢みたいなものである。これらを隙間なく並べ、FOBの防壁が形成される。2重にもできるし、積み重ねることもできる。
シンプルな構造ながら、防御性能は高い。弾丸は当然のこと、RPGの攻撃や突っ込んでくる車にも耐える。現在、アフガニスタンやイラクのあらゆる基地で、この「バスチョン・ウォール」が採用されている。
そんな防壁のところどころに見張り台があり、機関銃やロケットで武装した兵士が交替で24時間、警戒している。しかも、FOBのメインゲイトから幹線道路まで伸びる道は、起伏が激しいうえ、舗装されていない。そのため、車が高速で走ることができず、たとえ自爆テロの車が来ても、道の途中で対処できる。
このように、FOBトラは防御が固い。それでも稀に、遠くからロケットが飛んでくる。幸い基地内に落ちたことはないが・・・。
FOBから眺める日の出
FOB入口。フランス国旗とアフガン国旗がたなびく。
FOBトラ
FOBトラの周辺環境
背後の小山がモン・サンミッシェル
モン・サンミッシェルの見張所
山頂
山頂からの眺め
バスチョン・ウォールを作る現地雇用職人
バスチョン・ウォール
つづく
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