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Posted by ミリタリーブログ  at 

2012年07月25日

アーマー組み立てPart2

はじめに

学生のかたがたにとって、夏休みシーズンに入りました。それに合わせて、8月末日まで連載の更新を1、5、10、15、20、25、30日に行ないたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

それでは、連載にうつりましょう。ここ数回に分けて、私のアーマーのポーチ配列や、そこに収納した装備について書いてまいります。

――――――――――

弾薬の入れ方にも工夫を凝らした。支給された弾薬には、弾丸先端の数ミリが赤く塗られた弾薬が混ざっていた。曳光弾だ。私は、すべての弾倉内のトップから4~5発を曳光弾にした。そうすれば、もし私が敵を最初に発見し、発砲を始めた場合、曳光弾の放つピンクの小さな光が、他の兵士たちに敵のいる方向を伝えてくれる。

兵士の中には、各弾倉の最後の数発を曳光弾にして、弾が切れるサインとして使う者もいた。私は、自分が撃っている曳光弾を視認するのが不得意だったので、この方法はやらなかった。

最初と最後の両方に、数発の曳光弾を込める者もいるいっぽう、当然、何も考えず、曳光弾を無作為に混ぜたまま装填する者もいた。曳光弾の込め方については、何の指示もなかったのだ。

あるとき、ベラルーシ出身のヴァルダ伍長は、いきなり私に弾倉を見せてきた。トップから曳光弾が見える。彼は言った。
「へへへ。曳光弾をかき集めて、この中の25発すべてを曳光弾にしてやった。ヒヒヒ。連射したらキレイだぞ。」
花火じゃないんだぞ、と思ったが、おもしろいアイデアだとも思った。マネはしないが・・・。曳光弾をひとまとめにして興奮するヴァルダは変態だ。まあ、友軍兵士や非戦闘員を誤射しなければ、別にいい。

3つの弾倉ポーチを並べたあと、それらの左腕方向のとなりには、トゥルースペック社の「キャンティーン/ユーティリティー・ポーチ」をつけた。暗視装置に、クッション代わりとして、緑色のネックウォーマーを巻き、そこに入れた。クッションが必要なほど、暗視機能自体は脆くはないが、ヘルメット・マウントに接続するアダプターの部分などは少々脆く、割れると頭部につけられず、常に片手で暗視装置を眼の前に保持しなければならなくなり、確実に任務に支障をきたす。

トゥルースペック社ポーチのとなりには、OD色のイーグル社M4弾倉ポーチを1つ配置した。中には弾倉は入れず、発煙弾を入れた。発煙弾は、日本で売っている缶コーヒーの長い缶に近いサイズだ。

手榴弾と同じように、リング状の指掛けのついたピンを抜き、仏語で「Cuiller(スプーンの意味)」と呼ばれるレバーが外れてから数秒後、「シューッ、モクモクモク・・・」っと、煙が噴き出てくる。正確な持続時間は知らないが、5分くらいは噴きつづけると思う。私の知るかぎり、煙には、白、緑、赤、黄色がある。私のは「白」だ。

発煙弾は、ヘリコプターなど、遠くから見ている味方に位置を知らせるために使用したり、狙ってくる敵の視界を遮るための煙幕などに使用できる。洞穴とか家屋に隠れる敵を出てこさせるのにも使えるかもしれない。

以上が、アーマーの左腕側のポーチ配列だ。次に右腕側に移ろう。

まず、腹部前面の右腕側寄り、さきほど最初につけたM4弾倉ポーチのとなりに、レンジャーグリーン色のイーグル社製メディカルポーチをつけた。

中には、救急隊が患者の衣服を切るために使うハサミや、折り畳まれてコンパクトになっているエマージェンシー・ブランケット、小さく丸めた医療用の使い捨てゴム手袋2組、グルグル巻いて小さくした、バンドとクリップだけで構成された仏軍の従来型の止血帯2個、そして、バンドエイドと消毒液ガーゼの小袋を数個ずつ収納した。バンドエイドのような、小さな傷に対処する医療品も必要だ。戦場では、小さなケガをすることもある。

さらに、まだ支給されていないが、「クイッククロットACSプラス」という、出血部位を凝固させる医療品も、手に入り次第、収納する予定だ。

なお、ハサミには、日曜大工用品店「コメリ」で購入した小さなランヤードをつけた。電話の本体と受話器をつなぐスパイラル・コードと同じ形で、伸縮性がある。一端をハサミの柄につなぎ、もう片端をメディカルポーチ内部に縫いつけてあるナイロンコードの小さな輪につないだ。ハサミをつかんで腕を真上に思いきり伸ばせるくらいの長さだ。

これでハサミを紛失する心配はない。落としても、ぶらさがる。ランヤードを引いて、たぐり寄せればいい。

2007年1月、私が衛生兵になったばかりの頃、当時、我々の連隊にいた軍医が、「ハサミにランヤードをつける」というアドバイスをくれた。そのとき以降、私はそうしている。

かつて、その軍医が中央アフリカで任務についていたとき、夜間の戦闘で負傷者が発生。その処置の際、衣服を切るため、ハサミを使用した。その後、彼はハサミを落とし、それにはランヤードはついていなかった。夜の暗さと密生した草のせいで、ハサミは見つからなかった。そのときの教訓を軍医は我々に伝えた。

←アーマーに入っている防弾プレート

←エマージェンシーブランケット、医療用ハサミ、医療用グローブ(白、黒)

←フランス軍のオールドスタイルな止血帯

←クイッククロットACS+(上の大きなティーバッグのような物体が内容物本体)

つづく
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Posted by 野田力  at 07:00Comments(6)アフガニスタン